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有償ボランティア

ボランティアは本来、無償で行われるものです。これは、活動に対する報酬がないというだけではなく、現地までの交通費や食費、滞在費なども全く支払われないのが一般的です。しかし、中には有償ボランティアというものもあります。これは交通費や滞在費などの実費は支払われるけれども報酬は支払われないというものもあれば、謝礼としていくらかの賃金が支払われる場合もあります。もちろん利益を追求した活動ではボランティアとは言えないのですが、活動を継続するのに必要な資金としての賃金を支払ってもボランティアとしては十分に認められるのです。たとえば世界的に有名な青年海外協力隊や国境なき医師団も有償ボランティアに含まれます。このような国を超えてのボランティアの場合は、交通費も自分で支払うとなるとなかなかできる人も少ないでしょうから、こうした方法によってボランティアを募るのも適切な方法だといえるでしょう。こうした有償ボランティアに支払われる経費や謝礼は基本的にはそれを募った団体への寄付で賄われており、ボランティアのサポートを受ける人々が支払うわけではありません。そのことも、有償ボランティアがボランティアと認められる一因なのです。

しかし、この有償ボランティアには問題点も指摘されています。たとえば、雇用するのであれば定められている最低賃金以上の賃金で契約する必要があり、さらに社会保障なども負担しなければなりませんが、有償ボランティアにはその義務がありません。不況による失業者が増加し、仕事を探しても見つからない人がせめて収入を得るために有償ボランティアを行うこともありますが、活動内容が一般的な労働と変わりないものであった場合、これは労働基準法の抜け穴といわれても仕方がないでしょう。しかもそのことによって正規の労働者の就労機会が奪われることにもつながるなど、雇用の面では悪循環に陥る可能性もあるのです。こうした有償ボランティアは市町村などの行政組織でも使われることが増えており、ボランティアと労働者の境が不明確になることも問題視されています。